「お豆の奴隷解放宣言。」

 

かなり個人的な見解で文章を書くのでこれを読んで気分を害された方がいらっしゃいましたら、ただちに気分を転換してください。

恋人に電話したり、おいしいものを食べたり、あたりを散歩するのが良いと思います。

世界にはいろんな人がいて、理解を深める場合と、そっとしておく場合があるのです。

でも僕としてはずっとまとめたかったことなので。

 

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以前の記事「なぜ64ROASTERSにはコーヒーが3つしかないのか?」でお伝えしました通り、64ROASTERSのコーヒーの種類は今でもブレンド3つしかありません。

ここ最近で増やしたものと言えば、「豆ガチャや豆くじ、サードウェーブごっこ」とか楽しいことばっかり。(笑)

まぁこれに関してはまた書きますが。

 

 

 

世の中には「奥が深く敷居の高いもの(高そうなもの)」というのがあります。

人それぞれ感覚によっても違うんだけれど、カウンターの寿司屋とか日本酒とかワインとか、好きと言ったり、ちょっと知ってる風な雰囲気を出すと大変な目にあいそうなことってありますよね。

 

僕はお酒の席で、ビール・焼酎・日本酒・ウイスキーやブランデーがあまり好きではないのでたいがいジントニックか梅酒とか飲んでたんだけど、どうも食事と合わすってなると甘くないほうが良いなってなって、ワインをちょいちょい飲むんですよ。

ただそれだけの理由で。

 

でも、「なに飲むの?」ってなって「ワインを飲みますね~」って答えると、そっから突っ込まれそうになる時があるわけです。

「ほらあの、アレ、飲んだ?」みたいなさ。

僕としてはもうロッシで満足。ロッシ万歳なわけです。

産地も年代もラベルも全く興味がないし、これから先、歩み寄ることもないなぁと。

とりまワインで!くらいのノリです。

しいて言うなら、白より赤。

なんとなく。

 

 

 

話を戻しますが、ここ最近のコーヒー(スペシャルティやサードウェーブなど)もちょっとそんな感じになってきてると思うんですよね。

「コーヒー好き!」って言ってしまうと、大変な目にあいそうな予感。

 

例えば「モカが好き!」って言うと、マタリなの?シダモなの?イルガチェフェなの?みたいなことになってしまうわけで。

そこへもってきて「○○COFFEEの中煎りを粗めに挽いてフレンチプレスでぬるめに淹れる」みたいな言葉の応酬もあるんだから、もう「コーヒー好き」なんて軽々しく言えない。

 

さらには、ザクロのような果実感や樹齢の高いブドウの木のような魅力を口の中で探さなきゃならんわけですよ。

ザクロなんて頻繁に食べないし、樹齢の高いブドウの木なんて見たこともない。

そんなのを手掛かりに自分のコーヒーを選ぶなんて至難の業だなぁと。

なんか、そういう空気が一部にはあるんじゃないかと思うんですよね。

 

もちろん、あらゆる趣味は奥が深いほうが良いです。長く楽しめるから。

でも、”初めのとっかかり”は浅く低いほうが良いです。

カウンターのお寿司みたいに浮き足立つ必要はないと思います。

 

 

僕は缶コーヒーが好きで新しいのが出たらたいがい飲むんだけど「ワンダ モーニングショット」が一番いいんですよ。

味も悪くないし(缶コーヒーとしては)、どこでも100円で売ってるし。

こういうのコーヒー屋が言うのもなんなんだけど、今日はあえて言っちゃう。(笑)

「手軽」とか「気兼ねなく」って、消費行動においてはかなり重要な要素です。

缶コーヒー、カップラーメン、サトウのご飯、やっぱり需要はあるわけです。

 

 

「魚沼産のコシヒカリ」とかもブランド化されてこだわる人も多いと思うんだけど、実際に「魚沼」の場所を地図で示せる人って少ないと思うんですよね。僕も今さっき調べてやっと知ったくらい。

とにかくお米に関しては、炊きたてがうまい、おにぎり好き、焼きおにぎり最高、お茶漬けも捨てがたい、雑炊は得意じゃない、毎日食べたい、みたいなもんですよ。

 

「お米好き!」って言ったところで、「産地は?ブランドは?炊き方は?食べ方は?生産者は?」ってあんまりならないですよね。

「わかる~!やっぱ日本人は米やんなー!!」となるくらいやと思います。

もしこれで「サードウェーブ米」みたいなもんが出てきたら、「お米好き!」なんて軽々しく言えない雰囲気になるんでしょうか(笑)

 

「エビのようなやわらかい甘みに、イカのようなもっちりとした食感…。ぜひ土鍋で頂きたい逸品です!」みたいな。

 

 

 

僕は家業が喫茶で、小さいころから慣れ親しんでる文化のようなもんです。

ウチは2月3日の節分にはコーヒー豆を撒いてました。

それは嘘ですけど(笑)

 

 

「茶をしばく」という言葉が大阪にはあるように、コーヒーはあくまで生活の一部や選択肢の一つであり、その世界にも多種多様な価値観があります。

コーヒーの産地よりも阪神タイガースの今後のほうが気になるおじさんもいるし、コーヒー流行ってるからちょっとだけかじっとく若者もいるでしょう。

なんちゃってコーヒー店もたくさんあると楽しいし、高校の学祭でコーヒースタンドやつやつが出てきたってそれはかっこいいじゃないですか。

 

 

キングコング西野氏が言うように、入り口はできるだけ広いほうが良く、知れば知るほど奥が深いほうが良いわけです。

入り口に段差をつけてしまうと入ってくる人が少なくなり、結果的には少ない市場を取り合うハメになります。

僕は「ちょっと難しい専門的なことを、誰にでもわかるようなできるだけ簡単な言葉に置き換えてあげる」のがプロの仕事だと思うんですよ。

 

64ROASTERSで言うと、

・CB=上品なおばちゃんが花柄金縁のカップで飲むようなコーヒー。

・SR=寡黙なおじさんがカウンターで新聞とタバコのお供に飲むコーヒー。

・GT=その他。選んだりするの面倒な時にとりあえずのコーヒー。

 

 

お値段以上、アマには負けないレベルに持っていくのはこっちの仕事なので、あとはもうそれぞれの時間を楽しんでほしいわけです。

その時間に花を添えるくらいのことはできるんじゃないかと。

もしお口に合わなければ、また旅に出れば良いわけで。

 

 

いま巷には、たくさんの種類のコーヒーがあり、飲み方や淹れ方、サービスの種類もすごくたくさんあります。

もちろん、その違いや組み合わせを楽しむのもひとつです。

でも決して、”そうじゃなきゃいけない、知ってなきゃいけない”なんてことはないわけで、誰にだって自由です。

雑誌やメディアなどの媒体はどうしても一辺倒になりがちなので受け手の立場からすると視野が狭まってしまいそうですが、なんてこたぁないです。

いい感じなら、それがいい感じ。

 

 

先日(と言ってもだいぶ経ってますが)のジャパンコーヒーフェスに出て、「もしかしたらそうかもしれん」と思ってたのが「よっしゃわかったまかしとけ!」となったので一応ご報告までに。

 

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