高く、深く、狭く、暗く、濃く、長く。

・・

 

●コーヒーやないんかい

 

ニュースでも言われていることだけど、ここで書いても仕方ないくらいなんだかんだ上がってますよね、物価。

3000品目とか言われても全然イメージ湧かない。

 

昔は飲食店とかでも「昨今の物価上昇を鑑みて、、、」みたいな張り紙あったけど最近はもうスイスイ上げちゃう。

ウチがそうだけど、何を書いたって上げるんだから当たり障りのない言葉よりも「すんません!がんばります!!」のほうが気持ち良い気がする。

 

僕はそこまで経済に詳しいわけじゃないから長期的な是非は言えないけど、目の前の値札だけを見るとスーパーで二度見するレベルです。

で、飲食店というのは「材料を買ってきて調理して提供する」んだから当然、経済に左右されるし、この時代の荒波をなんとかして乗りこなさなきゃいけないわけ。

 

とはいえ、値段を上げたからコーヒーの量を増やすみたいなことしてたらいつかジョッキで出さなきゃいけなくなるし、値段に比例して濃くしてたらメガシャキくらい寝れなくなる。

かといって全く同じものを値段だけ上げるって店もお客もなんだかしっくりこない。

 

そこで、「よし!コーヒー以外の部分をやっていこう!!」となるわけです。

コーヒーを諦めたわけじゃなくて、他の付加価値を高めようって話ね。

 

もう何と戦ってるんだかわからなくなってきました。笑

 

・・

 

●そういえばずっと音楽をやってきた人生だった

 

僕が店に入った20年前、良心の時代に喫茶ピーコックではBGM代わりにFMラジオが流れてました。

僕がやるようになってそこから何かのキッカケでUSENを導入し、朝昼晩でチャンネルを変えたりしていて。

たしか「ボサノバ→オールディーズ→ジャズ」みたいな感じだったと思う。

 

本当はもっといろんな音楽をかけたかったけど、当時はスタッフもいて僕がいない時間もあったからチャンネル変えるだけでやってたんだけど、改装してワンオペになったらこっちのもん!

JBLのスピーカーを買ってきて、トイレやキッチンや玄関にもスピーカーを埋め込み、サブウーファーを鳴らして、なんちゃってジャズ喫茶ごっこが始まりました。

 

レコードはさすがに手が届かなかったけど、毎日の天気や季節や気分でCDを選び、ボリュームやイコライザーを調節して雰囲気づくり。

お客さんにも喜んでもらえてるし、僕自身もご機嫌だし、音楽好きで良かったなぁと思う。

音源によって癖があるから、それを毎朝イコライジングしたりしてご満悦でスタートします。

 

濃いコーヒーとムーディーなジャズ。

最高やん。

 

最近はもうちょい良いアンプでも買おうかしらとメルカリ見たりだとか。

 

・・

 

●たどり着いたのは、往年の喫茶店。

 

いちど気になるとこだわってしまう性格の僕は、コーヒーとジャズが重なった瞬間あることに気付きました。

「なんか、店内が明るい気がする、、」

 

そう、僕が好きな喫茶店ってだいたい暗いし、俗世と隔離されてるような非日常感があって。

そう思ってからはウッドブラインドを閉め気味にしたり、ドアにアジアンな布を掛けたりしたんだけど、「いや、もっと!もっとだ!!」みたいな気分になってしまって、ついにはダウンライトをプラ板で減光してしまいました。

 

そうなると相対的にキッチン側が明るくなってしまってカッコ悪い。

「よし!キッチンも暗くしろ!!!」てなわけで深めのシェードをかける。

手元は残しつつ反射を抑える。

 

もう、「わしゃドラキュラかい!!!!」っていうレベルで光を抑え込み、爽やかな秋晴れに散歩を楽しんできた人がドアを開けると瞳孔開くレベルの明暗さ。

「いらっしゃいませ」の意味変わってくるんちゃうかレベル。笑

 

そんなこんなで「薄暗い店内でジャズを聴きながら濃いコーヒーを飲む」っていう、喫茶店文化からしたら何の変哲もない昔からあるスタイルが完成したんだけど、時代に対して相対的に希少になったわけです。

「最近はこういう喫茶店も減ったよねぇ~」とよく言われるようになった。

「昼下がりの主婦たちのお喋り」とか「営業マンのセールストーク」には全く向かない場所になったけど、そこはやっぱりコメダやドトールと競合しちゃうしね。

 

価格っていうのは価値を反映するわけだし、価値の本質は「希少性×市場性」だと思うので、そこまで趣味の店というわけではないんだけどなぁ。

深く狭く、長く愛されるお店であればそれが一番強いんじゃないかと思うんですよね。

 

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●店主のYouTubeラジオ「宇宙 日本 服部」

「片手を空けなきゃ始まらない!」

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