カランコロン、びゅーんびゅん
カランコロン、びゅーびゅびゅん
木の実が落ちて 風が冷たくなり
森は急ぎ足で冬に向かっています
森の虫たちもせっせっせと冬じたく
「おーい、はやくはやく!こっちも手伝っておくれよ~!」
アリたちは力を合わせて食べ物を運んでいます
「ほら!あっちにもまだあったよ!」
ハチたちも残り少ないはちみつを探して飛び回っています
+++++
キュルッキュー、キュッキュキュー!
キュルッキュー、キュッキュッキュー!!
「…うーん、もう少し息が合わないと」
「これでもだいぶ練習したんだよう」
キリギリスたちはくるみの木に腰をかけて バイオリンを弾いています
せっせと食べ物を集めているアリたちに キリギリスは言いました
「おーい、アリくん!今年はどうなんだい?たくさん集まりそうなの?」
「うん、このままいけばね。」
「そうかい、がんばって!」
「うん、ありがとう。」
キュルッキュー、キュッキュキュー!
キュルッキュー、キュッキュッキュー!!
+++++
ワンツースリー、トントントン
ワンツースリー、トントントン
「あともう少し、ひねりがほしいのよね」
「うーん、、、もう1回だけ“トン”を増やしてみたら?」
「でもそうなるとさぁ…」
チョウたちは踊りの練習です
キレイな羽をパタパタさせながら あれこれお喋りしています
「ねぇ、ハチさん。どう思う?」
大いそがしのハチたちは口をそろえて言いました
「私たちにはきれいな羽がないからわからないわ」
「そうよねぇ、ありがとう。」
ワンツースリー、トントントン
ワンツースリー、トントントントン
+++++
森にも雪が降りはじめ、とうとう冬がやってきました
しんしんしん、しんしんしん
木の実も花も雪に覆われ あたりはまーっくら
+++++
クリスマスイブの晩、アリたちは温かい巣穴で準備をしていました
「ようし、あともう少し煮込んだら完成だな!」
そこへキリギリスがやってきます
「おーい、アリくん。開けておくれよ~」
「あ、キリギリスくんじゃないか まぁ入りなよ」
今度はハチたちもやってきました
「アリくん~、はちみつを持ってきたよ」
「ハチさん、入って~」
羽をきれいにお化粧したチョウたちもやってきました
「アリさん、こんばんは。」
「チョウさん、今日はすごくキレイですね!」
「ありがとう。」
+++++
森のみんなが揃ったところで、アリは言いました。
「それではみなさん、始めましょうー!!」
ワンツースリー!
ワンツースリー!!
キュルッキュー、キュッキュキュ―!
キュルッキュー、キュッキュッキュ―!!
待ってましたと言わんばかりに、キリギリスたちはバイオリンを披露します
ワンツースリー、トントントン!
ワンツースリー、トントントン!!
キリギリスのバイオリンに、チョウたちは踊りを合わせます
キュルッキュー、トントトン!
キュッキュキュー、トトントン!!
「いいぞいいぞ!楽しいなぁ!!」
アリたちは大喜びで食事の準備を進めました
「さぁさぁ、とっておきの飲み物を作ってきたのよ」
ハチたちが持ってきたのは レモンはちみつです
「わぁい!毎年これを楽しみにしてるんだよ」
アリたちは やんややんやと盛り上がります
「よし、準備ができたよ みんなで食べよう!!」
アリたちはせっせと集めた食べ物をみんなに振る舞いました
キリギリスの音楽とチョウの踊り、レモンはちみつとアリのごちそうでフロアのバイブスは一気にぶちあがりました
「アリくん、こんなごちそうをありがとう!」
キリギリスは言いました
「いえいえ。僕らはキリギリスくんのような長い手足じゃないからバイオリンは弾けないのさ。でも、食べ物を集めるのは得意なんだ」
アリたちは照れながらも嬉しそうです
「キリギリスさん、こんなに踊りやすい演奏をありがとう!」
チョウは踊りながら言いました
「こちらこそありがとう、何度も繰り返し練習したかいがあったよ」
キリギリスは得意げに跳ねてみせました
「ハチさんの作るレモンはちみつを毎年楽しみにしてるんだ。なんせ僕らは甘いものが大好きだからね!」
アリたちもはちみつは大好物です
「木の実にレモンはちみつをかけるとおいしいのよ~!」
ハチたちも大喜びです 探し回ったかいがありました
+++++
チョウたちに手を取られ ステージに上がったアリたちにマイクが向けられたとき、女王アリはこう言いました
私たちの住む森は広いです。広すぎて自分たちでは見つけることができない楽しいことやおいしいものがたくさんあります。
今日はみなさんに集まってもらって、とても楽しい時間を過ごすことができました。
森の中にはまだまだたくさん、私たちの知らないことがあるでしょう。
でもこうやってパーティを開くことで、それを知ることができます。
楽しい森にするためには、みんなで支えあうことが大切です。
楽しい時間をありがとう。
最後になりましたが、この歌の歌詞をみなさんに贈ります。
「どんなときも、好きなものは好きと言える気持ち抱きしめてたい!」
こうして森の虫たちは、寒い冬を暖かく過ごしていくのでした。
「みんな、ありがとう。来年もよろしくね!」
「いえいえこちらこそ、ありがとう。」
おしまい
+++++
わりとふざけて書きましたがどうでしたでしょうか?(笑)
ビジネス界隈のブログではあちこちで言われている例えを物語調にしてみました(^^)
映像が頭に浮かばない方は原作を絵本で読んでみてください。
まぁだいたい、同じ景色で再生できるはずです(笑)
人類がここまで繁栄できた背景には、「交換と分配」があります。
モノやコトの交換と分配こそが経済の原点であり、豊かさの根源です。
努力と根性!の時代ももちろんありましたが、向き不向きもその中にはあります。
虫たちほど外見や機能が違わないにしろ、僕ら人間にだって、かなりの個人差はあるはず。
みんなを平均に近づけることや、できないことをできるまでやり続けるその労力よりも、好きで得意なことをしっかりやって、「支援のための交換と分配」をしながらお互いを支え合う暮らしの方がみんなが自分らしくいれるように僕は思います。
想像してみてください。
手足の短いアリがキリギリスにしごかれながらバイオリンを弾いているところを。
女王アリの言うように、世界はめっちゃ広いです。
自分たちだけで知ろうなんて到底無理です。
ジグソーパズルのように、みんながひとかけらずつ持ち寄って、世界地図を作ればいいのです。
自分で見つけた最初の1ピースを大切に持っていれば、いつかどこかで世界とつながることができるのです。
キュルッキュー、トントトン。
この記事へのコメントはありません。