「江坂ブーミンホール」という財産。

 

僕が家業である喫茶ピーコックに入ったのは13年前の、24歳の時。

その前は1年半くらい「江坂ブーミンホール(現:江坂MUSE)」というライブハウスでスタッフをしていました。

 

仕事の内容はわかりやすく言うと、楽しいことを考えること・楽しいことを考えてる人をサポートすること。

もちろん事務的な作業や運営に関わることもあるんだけど、ブーミンホールは特に「楽しい至上主義」的な雰囲気が大好きでした。

 

面白いことを考える人の周りに面白い人が集まり、変なヤツの周りに変なヤツが集まる。(笑)

やっぱりそりゃ、出演するバンドも「売れたいなぁ」と思っていたし、そのためにはどないしたらええねんとみんなで四苦八苦して。

 

でも当時の制作「ヒゲメガネ男子×2」が、ロックネバーダイッ!とか、今日という日は今日しかない!とか、夢は大きくインテリジェンスは低く!とか言ってたのでね。

今となっては、マネタイズに興味がない(わかってない)人が旗振ってるんだからそりゃ四苦八苦もするわなと。(バンドのみんなすんません)

とにかく面白けりゃ良くて、みんなお金も持ってないので、中途半端にお金あったって全然面白くないわけです。

お金持ってるんなら、某ヴィジュアル系プロダクションの社長くらい持ってなきゃ面白くない!、そんな世界でした(笑)

 

10時間も居酒屋にいたり、ジョッキにケータイ突っ込んで一気したり、メガネを鍋で煮込んだり、半裸でタクシー拾うやつがいたり、ステージ上で血まみれになる人とか、年中ジャージの人とか、ステージ上ではみんなカッコつけるんだけど、むしろステージを降りた時のダメっぽさが最高だったりしたわけです(笑)

 

 

 

なんで今こんなこと書いてるかって言うとね。

ここ最近、喫茶とは別に「豊中こどもれもねいど」や「あんどはっとり」とか色々と楽しいことを考えて行動して、自分のキャラクターや取り巻く雰囲気が「ブーミン時代のそれ」と似てきているなぁって思ったんですよ。

 

 

自分で言うのもなんですが、こないだラジオに出た時にレモンをかぶって行く感じとか「ブーミンのえーちゃん的」やなと思ったんですよね。

そういやすっかり忘れてたけど、僕こういう感じやったな!と妙に腑に落ちまして。

 

もちろん、今、役に立っているスキルもここで学びました。

人見知りのしなさや企画書の書き方、営業トークやスケジューリング、人前で話したりすることやふざけて目立つこと、楽しいを作ることやおもしろい人を探すこととか、そういうのは全部。あと、イラストレーターやフォトショップの使い方も。

 

 

 

大人になって、家庭を持って、仕事をする中で、取り巻く環境はどんどん複雑に絡み合っていくわけです。

ライフワークバランスがどうだといって「できるだけ少ない時間で大きな成果やお金を生み出すことに価値がある」みたいになってますけど、当時の僕って時給400円くらいで働いてました(笑)

で、大人になるとどうしても、効率良く、線からはみ出さずに、最短距離で目的地へ行くような人生を送りがちになってしまうんですよね。

 

でも当時は真逆で、非効率で、線からはみ出たほうがおもしろくて、遠回りしたわりに元の場所に戻ってきちゃうようなやつが愛されたりしたわけです。

10年以上前のことを思い出しても記憶に残ってるバンドや関わった人って、そういうサイテーで最高な人達ばっかりです(褒めてますw)。

逆に器用な優等生はほとんど覚えてないんですよねぇ。

 

 

ほんでほんで、今になってそういう人たちと仕事をしたりしてるんです。

マネタイズのタイミング遅すぎるやろ!って気もしますが、結局はどういう形であれ人の記憶に残らなきゃ始まらないってことなんやろなと。

周囲に愛された人だったかどうかってのが大事なのであって。

 

(※当時のヒゲメガネ×2で最近作った64ROASTERSのロゴ。)

 

 

(※64ROASTERSの豆を使ってくれているyaggi cafeもブーミン繋がり)

 

 

当時はみんな、夢とか音楽のために必死になって時間や労力やお金を使って、結局はあんまり(成果として)残らなくって。

でも今になって(記憶に)残ってるのって、ダメで欠陥があって不器用で素直すぎてフルスイングで空振りするような人間味のある人たちです。

 

あらゆることが機械に置き換えられていく中で、人間としての活路って、そこなような気がします。

人間に対するエンターテイメントはやっぱり、人間が最強やなと。

 

 

ブーミンホールでの時間は途方もない労力を使いながらも全く儲からなかったんだけど(笑)、ここ最近になってようやく「あれ?もしかしてあの時のアレ、ここで使えるんちゃうか!?」みたいなことになってます。

「財産」って言うとお金や持ち物をイメージしてしまいがちだけど、経験や感覚や記憶や思い出の方が使い勝手が良いようにも思うしね。

 

仮にそれが「儲からない時間」であっても、「関係性を育む時間」や「記憶に残る時間」であれば過ごした時間は「財産」になり、それがいつかまたお金やその他の何かに変わったりもするんかなとぼんやり思う今日この頃なんです。

ブーミンにおれてほんとに良かったなと。

あそこにいなかったら、レモンなんて被ってないですからね、僕。(笑)

 

 

とにかく、楽しい人でいたい。

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